4th Meetingを開催しました

2020年最初のイベントは、白馬駅前の藤屋食堂さんを会場に、白馬村でSDGsに取り組む方の想いや活動をお伝えするスタイルで開催しました。

日時:2020年1月29日(水) 18:30〜20:30
会場:藤屋食堂(白馬駅前)
参加者:約30名

みんなを笑顔に「食べ物ワールドカード」

愛知県豊田市出身で2019年4月に白馬高校国際観光科に入学した酒井紗雪さん。


中学生の頃から「食を通じてみんなを笑顔にしたい」という想いでボランティア活動を始め、農家や飲食店の取材、食イベントの開催などをしていました。
また、世界情勢にも興味を持ち、国際ボランティアを始めるとともに、海外派遣団としてマレーシア・シンガポールを訪れました。
白馬高校に入学してもうすぐ1年が経ちますが、この春から信州つばさプロジェクトでSDGs探求としてカンボジアへ、夏にはライオンズクラブでオーストラリアへ、さらに民間親善大使としてカナダへの留学も予定しています。

ところで皆さん、好きな日本の食べ物はなんですか?

日本には多くの外国人が訪れていますが、コンビニでご飯を済ませている方も多いとか…。

アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがあり、日本語表記しかないため、何が入っているから分からず、食べないという選択をする方もいるとか…。

世界に誇る日本の食をたくさんの外国人にも楽しんでもらいたいという想いから、飲食店で利用する「食べ物ワールドカード」を作りたい!

食べられない食材のチェックリストを様々な言語で作成し、食を通じたコミュニケーションを促したい。

観光庁が発行している「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」などを参考に、試作してみたりもしています。

  1. 食べることができないもの
    アレルギー症状を引き起こすなど、健康上の理由で一切口にすることができないもの(そば・落花生は症状が重い傾向にある)
  2. 食べてはいけないもの
    宗教上の教義や信念に関する理由で食べることを避けているもの。実際に食べても、健康上の影響はないがトラブルを引きをおこす可能性が非常に高い。
  3. 食べたくないもの
    個人の主義や嗜好に関する理由で食べることを避けているもの。

の3つに分けることができますが、どう作り上げていくのがいいのか悩んでいます。

  • 紙?アプリ?それとも…
  • 食材のチェックだけにする?
  • 飲食店に協力してもらうには?
  • 既にあるツールを改良する?

など悩みは尽きません。

人は食べないと生きられません。
使いやすくてみんなに優しいカードを作り、食を通じてたくさんの笑顔を生み出すために、みなさんのアイデアや協力をお願いします!

感想・提案
日本のコンビニ食のレベルが高く好んで食べているという人もいる。
エッセンシャルガイドや白馬コネクトなど既存の外国人向け情報誌・パンフレットとコラボできないか。
若い人を中心にビーガンなど主義・主張で食べない人が増えている。肉の消費を抑え、環境負荷の低いメニューを選べるお店が増えてほしい。
飲食店だけでなく、入院時にもアレルギーなどを聞き出す必要があるため、カードができれば役に立つのではないか。
以前、海外の方にチョコレートをあげようとしたら、アルコールが入っているか聞かれた。原材料や成分を気にする方も多いため、多言語表記があれば親切。

酒井紗雪さんのブログでも報告記事が掲載されていますので、ご覧ください。
思い込みの枠から出る方法(酒井紗雪の活動記録)

食べ物ワールドカードの実用化に向けて、ご提案・ご協力いただける方は、酒井紗雪さんまたはHakuba SDGs Labまでご連絡ください。

安心を保証する国民皆保険を維持するために

白馬村役場で地域の健康に向き合っている保健師の稲垣まゆきさん。

「国民皆保険制度」をご存知ですか?

病院を受診した際に、実際に負担しているのは3割以下です。

もし健康保険制度が無かったら、高額の医療費を払えず治療を断念したり、受診を拒否されてしまうかもしれません…。

諸外国を見ても、失業者は加入できなかったり、そもそも仕組み自体が無い国もあります。
当日受診して医療サービスが受けられたり、自分で病院を選べたりすることも珍しく、日本の医療保険制度はWHOからも世界一と評されています。
さらに、平均寿命の長さや乳幼児死亡率の低さも世界トップレベル!

しかし、それを維持するために巨額の公費が投じられています。
制度の確立から50年以上が経過し、少子高齢化が進行した現代では医療費が膨らみすぎて財源が不足しています…。


2015年の医療費は42兆円でしたが、2040年には78兆円になると厚生労働省が試算しています。

医療費は、高齢者(65歳以上)にかかるものが圧倒的に多く、また医療費の内訳を見ると件数の97%を占める外来は医療費の57%程度であるのに対し、件数でわずか3%の入院が医療費の40%以上を占めています。

これからも保険制度を維持していくためには、

  • 収入を増やす(増税、自己負担割合の引き上げなど)
  • 支出を減らす(生活習慣病対策、適正受診の啓発、医療報酬の見直しなど)

のいずれかしかありません。

生活習慣の改善、介護予防・認知症予防、定期的な健診による早期発見・早期治療など、「予防できる病気を未然に防ぐ、重症化を防ぐ」ことが大切です。

ちなみに法律にも以下のように規定されています。
(健康増進法)
国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。
(介護保険法)
国民は、自ら要介護状態になることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態になった場合においても、進んでリハビリテーションその他適切な保健医療サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。

また、

  • かかりつけ医を持ち重複受診を避ける。
  • 白馬村でも導入されている「小児科オンライン」や全国版救急受診アプリ「Q助」などを活用し、時間外受診を控える。
  • ジェネリック医薬品を選択する。

など過不足なく医療を利用する「適正受診」も心がける必要があります。

参考までに白馬村の国保加入者の状況を見てみると、

  • 介護費が増加傾向にある
  • 高額の医療費を要するものとして心臓疾患が多い
  • 同規模の市町村と比べて脂質異常症の疾病率が高い

皆さん、食事はどうですか?運動はしていますか?

誰もが安心して医療サービスを受けられる国民皆保険制度を維持するためにも、一人ひとりが正しい知識を持って行動していきましょう!

健康に関することはいつでも白馬村役場の保健師にお気軽にご相談ください。

質問・感想
外国では、例えば指を切断してしまった時に、国民皆保険制度が無ければ「高額医療を自費で払うか、指がない人生を送るか」という選択を迫られ、全員が望ましい医療サービスを受けられるわけではないことが多い。日本は本当に恵まれていると思う。
医療費が安いために「念のため」ということで薬をもらったり、手厚すぎる医療を過剰に受けている部分もあるのではないか。
中国では公園で高齢者が健康器具を使ったり太極拳をしたりして体を動かしている。日本の高齢者はデイサービスに通うというイメージがあるが、介護予防に役立つような気軽に運動できる場があっても良いのではないか。
村は人と人との距離が近く、健康に関しても相談しやすいという人もいるが、逆に匿名性が低く相談しにくさを感じている人もいる。心の病や依存症などは圏域外の病院も気軽に受診できるような環境も必要ではないか。

未来に健康を届けるために

しんたにクリニックで看護師として働く新谷磨己さん。
保健師資格も有しており、病院で患者さんを待つだけでなく、地域に出て多くの人たちの健康に貢献したいという想いから、発表していただくことになりました。

1989年公開のアメリカ映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で描かれた30年後の未来と現在を比較してみると、大方予想どおりではあるものの、インターネットの普及と人口減少&デフレは想定外だったようです。

人口は既に減少に転じていますが、社会保障費を見ると、現在121兆円に対して2040年度には190兆円に膨れ上がると試算されています。
特に介護費の割合が増加し、2倍以上の費用が必要になると見込まれています。

これまで生活の基本は「衣食住」で、高度経済成長期にはその3つの出費が家計の3分の1だったと言われています。
今後、社会保障費の増加により財政が逼迫し、衰退していく地方では医者を確保することも困難になってくる中で「食住」が重要になりつつあります。

医療費を増大させないためにも「健康を維持すること=予防」が大切です。
(今回は時間が限られているので「定期的に健診を受ける」という当たり前のことは省きます)

先ほど保健師の稲垣さんからも「生活習慣病の予防が大切」という話がありましたが、生活習慣はいつ決まるもので、誰が大きな影響を及ぼすものでしょうか。

  • 味覚が発達のピークを迎えるのは…12歳ごろ
    それまでの味付けの濃さ、塩加減、甘さなどの習慣が身につき、味の好みが確立されます。
  • 骨量がピークを迎えるのは…18歳ごろ
    それまでに、しっかり運動をして踵の骨に良いストレスをかけ、カルシウムを接種し、ビタミンDの生成を促すよう適度に日光浴をして、骨の貯金を作る必要があります。
  • 脂肪組織の数が決まるのは…18歳ごろ
    それ以降は細胞が大きくなったり、小さくなったりで肥満具合が変わってくるため、18歳までにいかに細胞の数を多くし過ぎないかが重要です。

つまり、18歳ごろまでに生活習慣の多くは身につき、その後の健康面に大きく作用するということが分かります。

子どもたちに関わるすべての人に「幼少期からの生活習慣を整える重要性」を知ってほしいと思います。

健康面での「豊かさ」とは、一人ひとりが心と身体の健康に関する正しい知識を子どもの頃から持ち、「健康寿命」を「自分の手で・自分主体で」伸ばすことができるということではないでしょうか。

そういった知識・知恵・生活習慣を持ち合わせ、「生きる力を持った」子どもたちを送りだすことが、「未来に健康を届ける」方法だと考えます。

生きる力を養うために…

  1. 日本発の”母子手帳”を子どもと見る機会を作り、予防接種の重要性を伝えよう。
    世界では予防接種を受けることができずに多くの命が失われています。予防接種の重要性を改めて感じてもらうとともに、日本生まれの優れた母子手帳の存在価値を再認識してください。
  2. 大人が当たり前に健康診断を受ける姿を見せ、結果について子どもと話してみよう。
    親子はDNAレベルからよく似た個体であり、親の健診結果は子どもの将来の予習になります。一つ一つの項目をインターネットなどで調べるなど、健康に興味を持つ機会を作ってください。
  3. 和食回帰、塩分控えめ、汗をかく程度の運動を生活に取り入れよう。
    和食は日本人に合った食事ですが、塩分が多くなりがちです。例えば、糖尿病の治療薬は高塩分状態では効果が発揮できないという研究結果も出ていますので、塩分を控えた和食を心がけましょう。
  4. リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)について会話をしよう。
    親子で性について話せていますか?子どもの頃に自分の親と性について話せていない人が多いと思いますが、インターネットの普及により誰とでも簡単に知り合うことができ、また簡単に性に関する情報も得ることができる時代だからこそ、自分の子どもとは話せるようになりましょう。
  5. 子どもたちに「愛してる」と伝えよう。
    誰かに愛されている、必要とされている、認めてもらっている。それがすべてのエネルギーになり、人の心の安定もそこから生まれます。

今日から、できることから、はじめていきましょう。

質問・感想
小学校の教員として、5年理科の「人のたんじょう」の単元で母子手帳を使うことがある。
海外では母子手帳が無いところも多い中、日本では全員に配られており、特に予防接種の管理に関しては日時、種類、ロット番号まで全ての情報が揃っていて素晴らしい。日英併記の母子手帳もある。
白馬は健康意識が高い人が多く、雪のない時期は外で走っている人がたくさんいるが、雪が積もると外を走れなくなる。水泳はランニングよりも負荷が低く高齢者もできるため、冬でも利用できるプールがあれば村民の健康状況を良くすることができるのではないか。
子どもも出産に立ち会わせるなど、幼少期から性教育を行っている。自分を大切にすることも性教育の一部だと感じている。
一つの職種ではなく、保健師や看護師、さらには薬剤師など多様な職種が連携することが大切であり、こういった機会を今後もたくさん作ってほしい。

これからも様々な機会に健康や医療についてお話いただく機会を設けたいと思います。

まきさんのnoteで詳細が報告されていますので、ぜひご覧ください。

しんたに まき /【まちの保健室】未来に健康を届けるために@HakubaSDGs Lab

気候マーチin白馬岩岳スノーフィールドのお知らせ

11月30日(土)に開催した「気候難民のためのチャリティーバザー”Haction”」では、14万円を超える収益を上げることができました。

次回は2月2日(日)に白馬岩岳で、プラカードを持ってみんなで滑るという形でマーチを行います。


11時と14時の2回行いますので、気候変動対策を多くの人に求めるためにも、皆さんのご参加をお願いします!
気候マーチin白馬岩岳スノーフィールド

白馬高校の教室をDIYで断熱改修するプロジェクトも行う予定です。
大工さんや設計士さんなど、お手伝いいただける方はご連絡ください。

まとめ

今回、食や健康やを切り口としたことで、初参加の方も多くお越しいただきました。

次回以降、SDGsの17のゴールのうち、どれを取り上げてほしいか参加者に聞いたところ、皆さんどれもこれも興味があるようでした。
不可分である17のゴールと「誰一人取り残さない」という基本理念を尊重し、今後も多様な観点から学び、実践する人を増やしていきたいと思います。

専門や興味の有無にかかわらず、たくさんの方にお気軽に参加してもらえると嬉しいです。