ゼロカーボン(カーボンニュートラル)に向けて一人ひとりが主役となるための勉強会。
第10回の勉強会は、「南国の島と雪国の村の子どもたち」をテーマに、沖縄県竹富島の小・中学生と長野県白馬村の中学生が、海と山で感じる環境の変化やそれぞれの地域で実践している取り組みを発表し合いました。
会場:白馬ノルウェービレッジ
参加者:22名(会場11名、オンライン11名)
竹富島の状況と活動
沖縄県八重山郡竹富町で、海をきれいにする・島の子どもたちの未来を応援するプロジェクトに取り組むエシカルアイランド竹富代表の上勢頭巧さんと、竹富島の小中学生から島の環境や活動についてお話いただきました。
竹富島には中学校までしかないため、石垣島や沖縄本島の高校に進学しますが、コロナ禍で休校になり寮も閉鎖されたため高校生が島に帰ってきました。
幼い頃から遊んでいた竹富島の海にも島外からのプラスチックゴミが目立つようになってきたため、ビーチクリーンに取り組もうということになりました。
月500円からの協力金でマンスリーサポーターになっていただき、寄せられた協力金をビーチクリーンの活動や島の子どもたちの夢を叶える資金に活用しています。
全国の人たちに知ってもらい、応援してもらうためにも動画をSNS等で発信しています。高校生が協力金でやりたいことを考えた結果、「後輩である小中学生にいろいろな体験をさせたい」ということになりました。
まもなく卒業してしまう高校生もいるので、何をしたいか聞いたところ、「みんなで雪山で遊びたい」という意見が出てきたため、白馬村の人たちとつながって何かできないかということで今日の勉強会に参加しています。
今日は高校生は出られないため、小中学生が活動を報告します。
まず初めにマイクロプラスチックを拾ってみました。
全国的に取り組まれている「10,000ピースプロジェクト」(1㎡を1ピースとしてその中のマイクロプラスチックを取り除く)に参加する形で、砂をざるで振るってゴミを取りました。
竹富中学校バドミントン部では、県大会の遠征費に協力金を活用して、そのお礼としてビーチクリーンを実施しました。
ビーチクリーンだけでなく、生き物の観察会もしています。
新月の大潮の夕方にヤドカリは幼生を海に放つ様子(放幼生)を観察しました。
子供たちの「なんで?どうして?」という疑問がたくさん出てきて、海に放たれたヤドカリが小魚に食べられる様子を見て、弱肉強食・生態系を学びました。
長年島に住んでいる大人たちも知らないことがあり、みんなで楽しく学びました。
緊急事態宣言解除に合わせてビーチクリーンを実施しました。
海岸の木の根元には、ペットボトルや発泡スチロールなど多くのゴミが漂着していて、約50袋のゴミを拾いました。
海に泳ぎに行く前に日常的にゴミを拾ったり、ワールドクリーンアップデーに合わせてビーチクリーンをしたりしています。
その他にも「マングローブ観察会」や「ゴミから作るハロウィン仮装行列」といったこともしています。
小中学校では、海洋教育子どもサミットの発表に向けて準備をしています。
白馬村の状況と活動
白馬中学校のSDGsサークルの代表を務める出口天仁さんから、活動の様子を報告してもらいました。
白馬中学校SDGsサークルのテーマは「白馬の雪を守ろう」をテーマに半年ほど活動しています。
自然の力を利用した省エネと光合成による二酸化炭素削減を目的として、2種類のグリーンカーテンを設置しました。
オカワカメは、成長が早く丈夫で、栄養満点の健康野菜です。
シカクマメは、乾燥に弱く、枯れてしまいました。
今年は植えるのが遅かったのですが、本来は5月上旬に植えると良いと言われています。
1年A組のベランダに設置し、B組の平均気温を比較したところ、1Aは20.7℃、1Bは22.7℃で2℃ほど差が生じました。
みんなで活動できたことは良かったのですが、植える時期を早くして密度を高くすることが必要だと感じました。
また、学校で使用する紙を減らすペーパーレス活動にも取り組んでいます。
中学校では1年間に57万枚の紙を使っていて、紙とインクで約70万円の費用が発生しています。1本の木からA4用紙13,000枚が作れるので、白馬中学校だけでも毎年43本分の木を切っていることになります。
ペーパーレスに取り組むことで、森林伐採抑止、自然資源保護、事務効率化につながり、学校の方針であるICT活用とSDGsの両方に貢献できます。
紙を使う必要があるものもあるので、そういったものは古紙回収活動をしています。リサイクル・リユースに分けて、ホワイトボードに改修状況を記載しています。9月の時点で2,331枚の紙を回収しています。
4月から9月に使用した紙の量は11万5千枚で、昨年度の19万枚と比べて7万5千枚削減できています。CO2排出量に換算すると、88kg削減できたことになります。
他の生徒や先生たちの協力を得て活動できています。
白馬の雪を守るために、自分たちができることに取り組んでいきたいです。
お互いに質問・意見交換
近日中にリリース予定なので、ホームページや冊子ができたらお知らせします。
竹富島では、誰が捨てたかわからないゴミを拾わなければならないし、白馬村では、誰が排出したかわからない温室効果ガスの影響で雪の減少に悩んでいます。昔は11月下旬にスキー場がオープンしていましたが、最近は12月になってもなかなか雪が降りません。雪が降る量も減り、雪解けも早くなっています。
では、その変化にどう対応したらいいのか。CO2を減らすためには、紙の使用を控えて木を切らないようにすることも関係があります。いろいろなことが関係している難しい問題ではありますが、何もしないわけにはいかない、だからできることから取り組んでいるというのは、素晴らしいことだと思います。
風速70mなど台風の激化にも恐怖を感じています。
海に囲まれているので夏はそれほど暑さを感じません。
今後、高校生同士の交流なども含めて情報共有したり、子どもたちが行き来できたらいいなと思っています。
様々な活動を頑張った竹富島の高校生のご褒美として、白馬に連れて行きたい!
お知らせ・閉会
次回は、11月25日(木曜日)18:30〜20:30に開催予定です。
リフトの半分を再生可能エネルギーで動かしている八方尾根スキー場の脱炭素への取り組みについて、八方尾根開発株式会社SDGsマーケティング部松澤瑞木さんにお話いただきます。
後半はみんなで「こんなスキー場になったらいいな」を話しましょう!
さらにその次は、12月9日(木曜日)にドイツのフライブルクの先進事例を現地の方から伺おうと思います。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
学びと実践の両輪でゼロカーボンに取り組んでいきましょう!