第5回 地域と暮らしのゼロカーボン勉強会「白馬のゴミのゆくえ 〜リサイクルを超えるゴミの新潮流〜」

ゼロカーボン(カーボンニュートラル)に向けて一人ひとりが主役となるための勉強会。

第5回は、可燃ごみの処理施設「北アルプスエコパーク」(以下、エコパーク)の方にお越しいただき、ごみを減らすことによる効果や、ごみの処理について学びました。

日時:2021年7月8日(木)18:30〜20:00
場所:白馬ノルウェービレッジ(オンライン併用)
参加者:50名(会場20名、オンライン30名)

開会 – 白馬のごみのゆくえ

ごみの分類方法は、自治体ごとに規定があり、大町市白馬村小谷村でもそれぞれ分別方法を記した冊子が配布されています。

燃えるごみは大町市のエコパークに運ばれ、燃えないごみとリサイクル物は専門業者がそれぞれの施設に運んでいきます。

白馬村の可燃ごみの重さは、2,385tとなっていて、これには宿泊施設などから出る事業系のごみも含まれています。

リサイクル物の重さの割合を見ると、段ボールとガラスが最も多く、それぞれ全体の4分の1以上を占めています。雑誌・新聞も合わせて14%程度、小型家電も分解されてそれぞれリサイクルされますが10%程度を占めています。

ペットボトルについては、集積場やリサイクルセンターに集められたものを業者が回収して、ほとんどが繊維に生まれ変わっています。

リサイクル物と可燃ごみの割合を見ると、可燃ごみが多く、前回の勉強会で取り上げたコンポストによる生ごみ処理も大きな影響がありそうです。
可燃ごみを減らす余地は多くありそうですが、「処理施設が24時間稼働しているのであれば減らしても意味がないのでは…?」という疑問も湧いてきます。
その辺りをこの後、エコパークの西山さんにお話いただきたいと思います。

北アルプスエコパークでの可燃ごみの焼却とリサイクル

2018年8月に本格稼働が始まったエコパークでのごみ処理について、職員の西山さんからご説明いただきました。

エコパークは時計回りに一周してもらう作りになっていて、入口と出口で搬入車両の重さを計測して、料金を計算しています。
20tの炉が2つあり、合計で40tの処理能力を有しています。
一方の炉を点検・整備していても一方を稼働させることができます。
白馬村・小谷村のごみを焼却していた「白馬山麓清掃センター」では朝から夜までの16時間稼働で約30t、大町市の環境プランとは約70t、合わせると100t近いごみを燃やしていました。エコパークでは、ごみを減らすことを前提に、24時間稼働で40tの炉で対応しようとしています。
白馬山麓清掃センターでは、1日朝から夜までの16時間で焼却をしていたため、ダイオキシンが発生しやすい500〜600℃の帯域を1日2回通過していた。エコパークでは、24時間燃やし続けることで、それを回避しています。
年間280日の稼働という予定であったが、現在は340日の稼働となっており、当初の計画よりも60日多く稼働しています。

ごみピットで水分や材質などが均一になるようごみクレーンにより撹拌してから焼却炉に投入しています。
可燃性粗大ごみは、破砕機で細かくしてから焼却しています。
炉内ではストーカで時間をかけて送られ、乾燥帯→燃焼帯→灰となります。
炉内温度は850℃〜900℃を保っていて、新基準に近い状況で焼却されています。
また、排ガスに消石灰や活性炭等を吹き込むことで有害物質を吸着除去したり、尿素水により窒素酸化物を窒素と水に分けるなど、安全な状態で外に放出しています。
焼却灰は、キレート剤を用いて金属イオンと結合して安全な状態で搬出しています。
煙突から出ている白い煙はほぼ水蒸気で、高音の水蒸気に水をかけて温度を下げているため、煙突から出る際には白く見えます。

可燃ごみの量の推移を見ると、令和2年度は前年と比べて約1,000t(10%)少なくなっていますが、おそらく新型コロナウイルス感染症の影響で、可燃ごみの約80%を占める事業系のごみが減ったものと思われます。

令和2年度の数値を見ると、ごみの処理費用は、可燃ごみだけで3億3千万円かかっていて、1tあたり32,500円くらいの費用ということになります。稼働日が多くなると運転時間も長くなるため、費用も高くなります。
1日あたりの焼却量は32.5tであり、処理能力に近い量を燃やしている状況です。
搬入量10,176tに対して、焼却灰は1,128tなので、燃やすと10分の1くらいの重さになるということがわかります。量(体積)は20分の1くらいになります。
ごみを燃やすと全て無くなるというわけではなくて、10分の1は必ず残ってしまうということを理解していただきたいと思います。
焼却灰は大町市の最終処分場グリーンパークに埋め立てられていますが、可燃ごみが多く出されると最終処分場が逼迫してしまいます。

昨年度4回ごみ質調査を実施した結果、家庭から出る生ごみ系の割合は、少ない時で11%、多い時で22%くらいでした。(水分を含めるとさらに多くなる可能性があります)
最も多いのが紙で、約40%を占めています。新聞紙や封筒など雑がみで出せるものも含まれているため、減らすことができると言えます。
次に多いのがビニール系のもので、24%を占めています。きれいなものはリサイクルに回していただき、洗剤などの資源を使ってきれいにする必要があるものは燃えるごみとして出していただくというのが分岐点になるかと思います。

1人1日あたりの排出量は、927gを目標としています。
観光由来の事業系ごみもありますが、人口で割ると平成28年度の時点から54g/人・日減らす必要があります。
紙類で5g/人・日(できれば新聞1日分)、食べ残しは14g/人・日、生ごみの水切りで9g/人・日、レジ袋などプラスチック類が14g/人・日、それぞれ減らしていただきたいということになっています。
前回の勉強会でもコンポストや電気式の乾燥機に補助があるという話もありましたが、できるだけ重量を減らすことが大切です。

ペットボトルは、日本容器包装リサイクル協会に売り渡していて、スポーツウェアなどの洋服の繊維に生まれ変わっています。不純物があると品質が悪化して糸がつながりにくくなるため、洗ってきれいにして出すようにしてください。
BtoB(ボトルからボトルに)が進みつつあり、全体の1〜2割が再びペットボトルに生まれ変わっています。
この地域では約70tのペットボトルが出されていますが、衣類に生まれ変わり、最終的には燃えるごみになるため、今の状態を続けると原材料である石油を調達してペットボトルを作り続けることになります。BtoBが実現すれば、原材料を再利用できる水平リサイクルとなるため、循環型社会に近づくことができます。

エコパークの稼働に伴い、白馬山麓清掃センターの向かいにリサイクルセンターが建設されました。集積場の回収時間までに間に合わない人でも、日中の時間帯に可燃ごみやリサイクル物の持ち込みが可能となっています。
また、白馬山麓清掃センターは今年度解体されます。跡地にはリサイクル推進の拠点となる「リサイクルプラザ」を建設予定で、食器の交換や不用品の譲り合いなど多くの方に利用していただける施設にしたいと考えています。

質疑応答

内容を入焼却炉の温度は850〜900℃ということですが、助燃剤は使っていないのですか?

ダイオキシンが発生しやすい500〜600℃の帯域を早く抜けるために、灯油を助燃剤として吹いて温度を上げています。炉を休めて点検をして次の燃やし始めの時だけ使うことになっています。

ごみの削減目標は何を目的に設定されたものですか?

施設の稼働日数を当初の予定(280日)に抑えて、耐火レンガなど焼却炉を長く安全に使うことを目的に定めたものです。

焼却灰を埋め立てずに何かに使うことはできないか。
最終処分場はどんな形で埋め立てられていますか?

溶融炉を用いてセメントなどの建材にすることもできますが、多額の費用がかかります。焼却炉は途中で大規模なメンテナンスを実施しても30年程度が寿命と言われていて、その間に社会情勢や科学技術も変化してくるため、総合的に勘案して検討・判断していく必要があります。
現状の最終処分場では、焼却灰は遮水シートの上に積み重ねられ、雨水や浸出水等は処理施設で浄化され、基準以下の処理水が放流されています。
最終処分場であるグリーンパークはあと数年でいっぱいになってしまう状況です。

スウェーデンでは、ごみを燃やして発電していて、海外からごみを購入していると聞きます。発電設備は設けられていますか?また、海外の事例はどうなっていますか?

発電設備は設けていません。規模が小さいため、施設内の給湯や搬入路の融雪に排熱を使用している程度です。
m施設内から排水を出さないようになっていて、使用された水は浄化槽を通り冷却水として吹き付けられています。
日本は衛生的な観点からごみ処理を捉えていて、以前は堆肥化できる生ごみや有害性の低い紙類などが多く、焼却されるものは多くありませんでしたが、現代では早く安全に処理できる焼却が多くなっています。
日本では一般廃棄物の70〜80%は焼却していますが、諸外国では燃えないものは埋め立てるという国が多くなっています。また、集めたものをどう分けてリサイクルするかということが主題であり、埋めるものを減らす方向で進んでいます。

ごみの出し方について、ペットボトルやプラスチック製品は「洗って出す」ということになっていますが、その理由はリサイクルの行程で不純物が無い方が好ましいからですか?

飲料が残っているペットボトルは、虫が付着したり不純物が多くなりやすく、資源としての価値・品質が下がり高く売れなくなってしまうからです。

プラスチック製品から紙製品などへの転換が進んでいますが、例えばストロー1本を考えたときに、紙で作る方が資源やエネルギーをより多く使っているのではないかという話もあります。例えば、マヨネーズやシャンプーなど、中が洗えないような容器でも切り開いて洗って出した方が良いのか、焼却ごみで出す方が良いのか。

洗剤や温水などをたくさん使うことでリサイクルに回せる可能性もありますが、それでも品質を下げてしまう可能性もあります。「これくらいであれば」ということは断言できませんが、洗浄に必要な資源と手間を考えて判断していただきたいです。

リサイクルによるCO2排出も多いと思いますが、ペットボトルを10本リサイクルするときに、どれくらいのCO2が排出されますか?

細かい数値は分かりませんが、少なくとも石油からペットボトルを作るよりは、ペットボトルからペットボトルを作った方がエネルギー効率は高いです。化石燃料の使用を抑える観点からも、リサイクルに回しましょう。

この地域のリサイクル率はどれくらいですか?

令和元年度の白馬村のリサイクル率は19.6%で、10年ほど前からそれほど変わっていません。民間事業者が回収している分が計上されていないので、実際の率はもう少し高く、以前よりも増加しているのではないかと思います。

ペットボトル以外のプラスチック製容器包装はどのように処理されていますか?

日本容器包装リサイクル協会に出荷して、繊維やパレット、買い物カゴ等に生まれ変わっています。
収納ケースやコンテナなどの硬質プラスチックは、頑丈にするために鉛が入っているものもあります。一度にたくさん燃やしたときに排ガスの中に鉛成分が検出されることもあり、撹拌や薬剤処理で対応しています。

プラスチックに鉛やガラスが入っているものがあることを知る機会がなく、何も考えずに買って使ってしまいがちですが、有害であればできるだけ買わないという選択肢も考えられるかもしれません。売れるものは作られてしまうので、情報提供と消費者の選択も重要な課題となります。

ご丁寧にご説明・ご回答いただいた西山さん、ありがとうございました!