「SIGNS FROM NATURE」上映会を開催しました

SIGNS FROM NATURE 上映会

日時:2019年7月14日(火)16:00〜18:00
会場:白馬ノルウェービレッジ

Hakuba SDGs Lab 2nd Meeting

Hakuba SDGs Lab 2nd Meetingは3連休中日の夕方に開催!

皆さんお忙しいので、どれくらいの人が集まるか不安でしたが、連休ということもあり東京から白馬に来ていた方も含めて約40名にご参加いただきました。

会場はジャンプ競技場に隣接するコワーキングスペース「白馬ノルウェービレッジ」。

cafe stand THE DAY HAKUBAのキッチンカーにも出店いただきました!

開会あいさつ&ゲスト紹介

初参加の方もいらっしゃいましたので、Hakuba SDGs Labについて簡単に説明させていただき、今回のゲストをご紹介しました。

松岡 美緒さん(ガーデンティーチャー)
 国際協力関係の仕事で「持続可能性」について伝えていくうちに、日本や自分の暮らしのあり方を振り返るようになり、現在は日本でパ一マカルチャーについて学んでいます。
遠藤 励さん(雪の写真家)
 長野県大町市で生まれ育ち、現在も大町市在住。物心ついた時から雪山の中で遊び、90年代より写真家として専門的にスノーボードの分野で活動。現在は、国内外の雪や氷河、北極の民族などを撮り続けています。
 オフィシャルホームページ:TSUTOMU ENDO PHOTOGRAPHY

ゲストのお二人は、気候変動ドキュメンタリー映画「SIGNS FROM NATURE」に出演されており、今回はその映画を鑑賞した上で、お二人のお話も聞きながら、参加者同士の意見交換をしました。

SIGNS FROM NATURE

「SIGNS FROM NATURE」は、市民の力で地球温暖化の解決を目指す国際環境NGO「350.org」が制作した気候変動ドキュメンタリー映画で、北海道から沖縄まで6人のストーリーを紡ぐ日本を舞台にした約20分のショートフィルムです。

ゲストのお二人に加え、北海道の昆布漁師、西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町の元住民、沖縄県石垣島の伝統船サバニ大工など、それぞれの地域・立場から気候変動に対する想いを語られています。

映画『Signs from Nature』公式サイト
2019年公開 ┃ 気候変動ショートフィルム ┃ 自主上映会ホスト募集中 ┃「気候変動」その影響はすでに今、ここ日本でも現れている。自然からの”サイン”、そして私たちが個人からできることのアイデアを紡ぐ。
映画の感想を共有

映画の上映後、グループに分かれて感じたこと、想ったことをシェアしました。

沖縄から移住してきたが、地元で珊瑚の死や生態系の変化などを感じ危惧している。
パームヤシ農園の拡大による熱帯林破壊など、調べれば調べるほど問題の多さを感じる。
「除雪が楽になった」という地域の人たちの声からも雪の減少を感じている。雪が少ない状況や冬に降る雨も当たり前になってきている。
白馬村や大町市は豊富な水源も貴重な資源であるが、水質が変わったり水が枯れる恐れも感じている。雪の状態で山に保水されていることも大切。
「雷鳥の生息に適した環境が今世紀末に消失する恐れがある」とニュースになっていたが、猿も標高の高いところに出現するなど、生態系の変化を感じずにはいられない。
ESG投資(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)が流行っているが、気候変動に関するものはこれからという印象。何をするにしてもお金がかかるため、経済の成長も必要ではあるが、環境破壊とのバランスを考えなければならない。GDPを指標にすると環境を破壊して経済成長を追いがちだが、環境破壊をペナルティとして評価するような仕組みがあれば意識が変わってくるのではないか。
村内の鳥獣被害の増加傾向を感じている。
プラスチックをしっかり分別してリサイクルする、プラスチック代替品を用いるなど、できることから始めたいが、個人のアクションがどの程度意味のあることなのかわかりにくい。
雪山だけでなく海の人たちも問題を抱えていると改めて感じた。気温の暑寒や雨量の多少など極端化が著しく、気候パターンの変化を感じる。
単に暑い寒い、雪が少ないということだけでなく、仕事への影響など問題の深さを認識できた。
といったように、様々な視点で参加者から感想や意見が述べられました。
また、「気候変動について、何を信じていいのかわからない部分があり、発信すると責任を伴うが、どういったことに気をつけるべきか」という参加者からの質問に対して、遠藤さんからは「学術的な部分には細かく触れないなど、自分の能力を超えない範囲で発信するようにしている」とお答えいただきました。
さらに、一部の人ではなくみんなで取り組むというSDGsの理念に関連して、ゲストのお二人からは、
  • サステナビリティというと「面倒くさい」、「やらされている」と捉える人が多いため、興味・興奮を生み出す仕掛けやエンターテインメント性との組み合わせも大切。
  • 真実を知って身近な人に伝えることや自分の伝えたい想いを素直にシェアすることが大切で、不安な材料が多いが共有することで自分だけではないという安心感がパワーになる。

といったお話をいただきました。

HIDDEN IMPACT
  • 飛行機に乗る
  • 車に乗る
  • 公共交通機関を使う
  • 肉を食べる
  • 卵や乳製品を食べる
  • 野菜・魚を食べる
  • 物を買う
  • 洋服を買う
  • シャワーを浴びる
  • 大きな家に住む

といった事柄のうち、気候変動に大きな影響を及ぼすものはどれなのか、グループごとに予想を立てました。

結果として、TOP3は次の項目と言われています。

  1. 物を買う
  2. 肉を食べる
  3. 大きな家に住む・車に乗る
オランダでの調査研究によるものであり、前提条件にもよりますが、参加者がどれくらいの頻度や量でそれぞれ消費しているか、改めて考えてみました。
Meatless Monday

「肉を食べることが気候変動にどういった影響を及ぼすかわからない」という参加者の声を受けて、参加者の一人であるミラーさやかさんが解説してくれました。

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、牛1頭がげっぷやおならとして発するメタンガスの量は、1日160〜320リットルになり、世界の温室効果ガス排出量の16%をメタンが占めているとのことです。また、食肉の輸送にも多くのエネルギーが消費されています。
肉の中でも、牛肉や羊肉が特に温室効果ガスを多く排出すると言われていて、一説によると、ハンバーガーを1つ作るのに、3年分の飲み水と携帯電話の充電4.5年分が使われていて、世界の人たちが食べるのを我慢すれば、車を2億4,000万台走らせないのと同じ効果が得られるとも言われています。
海外では、「Meatless Monday」として、ビーガンやベジタリアンではない人たちが「月曜日に肉を食べない」というムーブメントが数年前から起きています。
牛肉を使わないということにこだわらず、減らして他のもので代用することで、無理なく続けることも大切であるし、みんなでレシピを考えて楽しんだり、地域の飲食店にも取り組んでもらうことを目指したいというご提案をいただきました。
今後、Facebookなどでグループを作成して白馬地域でもMeatless Mondayの実践者を募りレシピなども共有していきたいと思います!
まとめ(参加者の感想)

気候変動に限っても様々な観点があり、全体を振り返って多様な感想が述べられました。

輸送にかかるエネルギーを考えて近くで作られたものを買いたい。
スキー・スノーボードで毎週末白馬に通うような人に対して、移動のエネルギーとコストを考えて白馬に移住してもらうよう促したい。
ファストフードではなく、環境に配慮したレストランを積極的に利用するようにしたい。
何も考えずシャワーを長時間浴びていたが、これからは意識を変えたい。
レシピのシェアだけでなく材料の入手についてもネットワークを活用したい。
自転車の活用もエコにつながるので、自転車レーンの設置などを進めてほしい。
インフラの意地にかかる費用も大きな負担となるため、新しい道路を作る際には既存道路を2本減らすといったことも検討してほしい。
Health, Wellness, Happinessを大切にしたい。
お知らせ&閉会
ご参加いただいた田中麻乃さんから、9月1日にエイブル白馬五竜エスカルプラザで開催される”SDGs推進フォーラム「SDGs×ビジネス」”(10:30開会)のイベントをご紹介いただきました。
そして最後に、キッチンカーでお越しいただいた”cafe stand THE DAY HAKUBA”の蟻末さんから、起業に際しての想いを述べていただきました。

長野の豊かな食と自然に携わりたいという想いを持っていろいろと調べていくうちに、規格外品の存在や採れすぎてしまった野菜の廃棄など、国内随一の生産地ゆえの悩みがある事も知りました。

抜群な味なのに規格外や食べきれないという理由で廃棄されてしまう野菜を活用したメニューを作り、今では数種類のポタージュとして人気メニューになっています。

同様に、子を産み続ける専用の牛で、子を産めなくなった後に加工品になるか屠畜され廃棄される経産牛のことも知りました。

信州牛として焼肉店などで高級食材として取り扱われる反面、信州経産牛として子を産み続け屠畜されるだけの牛も相当数いるということに何か手を入れることができないかと考え、信州経産牛を使用したカレーを提供することにしました。

結果として規格外品の野菜や信州経産牛を使ったことは大正解で、村内の方はもちろん、県内外から観光でいらっしゃった方やインバウンドの方にも長野の魅力を食から伝えることができていると感じています。

ぜひ皆さんにも召し上がっていただきたいと思います。

ということで、Meatless Mondayを実践しながら、ごちそうとして牛肉を食べるのは、地元信州の経産牛を使っている”cafe stand THE DAY HAKUBA”で!
次回のラボの開催は決まり次第お知らせします!
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!